No.39 Gretsch G6120T-KYKA
name: Karakusa
Gretsch の紹介もついに15本目、ここでキター!その個性的なルックスで全世界の Gretsch ファンに焦りとショックを与えたこいつ、「Karakusa」の登場です!
前項の「Copper」で書いたのですが……ボクは2016年に、2つのラインに分かれた Gretsch の 6120 を「両シリーズ1本ずつ」買ったんです。その「ヴィンテージ・セレクト」の方が「Copper」になったわけですよね?ということは、つまり……「プレーヤーズ・エディション」の 6120 がこいつだというわけです!
Copper とこいつは兄弟機なんですね。全く同じ時期に、同じ動機のもとで製作された2つのギター、なわけです。双子ではないんですが……二卵性双生児というニュアンスが近いんでしょうか?
このプレーヤーズ・エディションの 6120 は「毎晩の激しいライブにも対応し得る」仕様になっています。数ある対応仕様の中から、ボクが目をつけたポイントをいくつか紹介しましょう。
まずは「2 1/4インチのボディー厚」に「ML ブレイシングを採用している」という点。2と1/4インチは箱モノにしては非常に薄いと言えます。「薄い、イコール、ハウりづらい」と解釈していただいても間違いはありません。つまり歪みだったりクランチやドライブサウンドを作りやすい。
「ML ブレイシング」とはなかなか聞き慣れないものとは思いますが、実は No.23 の「Sky」の項で紹介してあります。理由はわかりませんが、「トレッセル・ブレイシング」よりも歪みがノリやすいという印象です。つまりこれもクランチやドライブサウンドの作りやすさに一役買っていると思います。
総じて「ハードなサウンドに対応できるよう、構造から寄せてある」と言えるでしょう。
続いては Bigsby なんですが、なんとピンレス!「ストリング・スルー」と呼ばれるピンレス構造になっています。Bigsby 搭載のギターの弦の張り替えをしたことある方は誰もが経験済みだとは思いますが、せっかくピンに引っ掛けたのに、必死こいてペグを巻いている途中でピンから弦のボールエンドが外れ「バイーーン!」とやっちまったこと、あると思います。これ「Bigsby あるある」なんですが、そのあるあるが解消されました!これはなかなか便利ですよ!便利です……。ボククラスになると、便利すぎて若干寂しいですけどwww ボク、あの「バイーーン」って嫌いじゃないんですよwwwww 好きなわけはない、ボクだってムカつきますよ?そりゃやっちまったら盛大に舌打ちします。でもそれも含めて Bigsby だなぁ、と。しかしあれが嫌いな方にはとても良いと思います。
そしてペグ、GOTOH のロック式になっています!しかも Gretsch のロゴ入り!Brian Setzer モデルなどのシグネイチャー・モデルではロック式も散見されましたが、レギュラーのラインナップにロック式を採用することはかなりレア、Bigsby のストリングスルーも合わせて「本格的にライブ仕様にしてきた」感があります
ここから先は、こいつを作ってもらった際に変えてしまった仕様、しかし売り物のプレーヤーズ・エディションの 6120 はこうなってるよ、っていうポイントを紹介しましょう。
まずブリッジ、こいつはアジャストマチックに変更してしまいましたが、実はロッキンバーブリッジがついています。……これってかなり興味深い部分ですよね!アジャストマチックの方がオクターブチューニングもできて、絶対に「現場向き」なはずなんですよ。しかし採用されているのはロッキンバー。へー、ここだけ現場向きなパーツにしなかったんだ……うーんしかし、これにはなにか理由があるんでしょうね……。好みにもよりますが、ロッキンバーブリッジの鳴りって独特でボクは好きです。ただオクターブチューニングをできる仕様にしておかないとうちのギターテック君にイヤな顔をされるのでwwwww ここは鳴りよりもギターテック君の顔色、いや、チューニング重視ですw
それから、トーンスウィッチを増設してもらいました。市販品には付いていません。ピックアップセレクター、マスターボリューム、2ボリュームの1トーンです。こいつはピックアップセレクター、トーンスウィッチ、マスターボリューム、2ボリューム、1トーンになってます。トーンが2種類ついていることになりますね。みんな「使えない」と言ってイヤがるトーンスウィッチ、Brian Setzer さんなんかは使わないからとボディーの内部に落としてしまっています。しかしボク、Gretsch のギターで音作りをする際にとても大切にしているのがトーンスウィッチなんです。こいつの特性がないと上手くサウンドメイクできないんですよね……。なので元々ついているトーンノブも生かしたままスウィッチも増設、謎の2トーン仕様になっています。
そしてリアピックアップを、例の「TV JONES の健用カスタム」の中からのものに変えてあります。元々はフィルタートロンが搭載されています。それに比べて TV JONES カスタムは歪みがノリやすい特徴を持っています。
そんな感じで、ボク結構改造してしまっているんですよね。ただサイズ感は変わってないじゃないですか?そのへんはバッチリですよ!このちょい薄めのボディーの取り回しも良く、体にフィットしてくれます。
……さてさて、そろそろこいつのルックスについて触れなければいけませんねwwww もうちゃんと白状します!これは「妖怪ウォッチ」の登場キャラクター「コマさん」がいつも唐草模様の風呂敷をかけているのが可愛くて可愛くて!!思わずギターの柄にしていまいました!!まぁ一体何を考えていたんでしょうかねwwwwwww いや、何考えてたってこともないですがwwwwwww 好きだったんだもん、しょうがないwwwwwww しょうがないってのも変だなぁwwwwwwwwwww
名前は、もうそのまんま「Karakusa」です。「Koma」というギターはすでに家にいるので「Karakusa」で良かろう、と。
モデル No. は「G6120T-KYKA」、シリアルは「JT17080014」。一つ前の二卵性双生児のギター Copper が「JT17080015」、たったの1番違いです!つまり完成したのも17年8月。Copper は半年ほど寝かせてからデビューさせたはずですが、こいつはすぐにデビューしましたね!Copper に比べて現場向けの仕様になっていることと、……一刻も早く皆さんに「げっ!!」って思ってもらいたくて早々に持って出たんでしょうねwwwwww17年の夏以降っていったら、Ken Yokoyama はコンスタントなライブ活動をしていましたし、年末にはなんと Hi-Standard の「The Gift ツアー」がありましたwwwwwww まぁあちこちで弾いて、出るとこ出ちゃった感じです。
一時期は「これは横山健の新しいシグネイチャーモデルとなるか!?」とまで話は上り詰めたんですが……なんと工場側からストップがかかりまして(涙目) この模様をプリントするのに、その工場でやったことない技術が必要で、それがなかなか大変だと……それはもう理解せざるを得ないです(涙が溢れています) ボクのこいつ1本だとしても、形にしていただけただけでボクは大満足です!!(焼き肉食いに行こーっと!!)
最近人前で弾いてないんで……忘れた頃にきますよ、皆さん!www
あ、最後にモデル No. の秘密を…….「G6120T-KYKA」ですよね。6120の後ろの T はトレモロの T です。さあ、その後ろの「KYKA」とは??普通に解析すると「健(K)横山(Y)唐草(KA)」ってところだと思いますよね?惜しい!実に惜しい!!!KY は合ってます。KA はね、ただの唐草の頭文字じゃないんですよ!
正解は「唐草(Karakusa)アラベスク(Arabesque)」の頭文字を取って KA なんですねーーーー!!!!アラベスクとは幾何学模様を表す言葉のようで、英語ではこちらの方がしっくりしたんでしょうね。これ、マメな。
実はこの唐草模様、実に縁起が良い柄でして。どうも泥棒が背負っているイメージがあるじゃないですか?しかし実は「蔓草の茎や葉が絡み合って曲線を描く文様」でして、つまり「生命力が途切れることなく蔓を伸ばしていくことから、繁栄・長寿などの意味がある」そうですよ!要するに一族の万代の繁栄、長寿を表す、非常に縁起の良い柄なんです!!
この柄はとてもポピュラーに庶民に愛され、「空き巣が入った際にどこの家にもあるので、とりあえずそれに盗るものを包んで逃げた」と言われています。それが空き巣・泥棒を漫画などで描く際のシンボルとなっていったようです。
こいつ、縁起いいんですよ。
縁起モンの Gretsch 6120 です。
最後にですね……ヴィンテージ・セレクトの Copper とプレーヤーズ・エディションの Karakusa のこの2本を同時に製作していただいて、同時に出来上がってきたので、同時にお支払いしました。普通ヴィンテージ・セレクトの方が高いんです。
しかし請求書を見ると……どう見ても Karakusa の方が高い!!!!wwwwwwwwwww
これはもう無茶な唐草模様のプリント代ということで納得いたしましたwwwwww
くそー、Karakusa、いろいろと笑かしてくれんなぁ!!!!!
2022/8/11