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guitar

No.9 ESP Navigator N-LP-380LTD

name: Honey

90年代後半から Hi-Standard のメインギターとして愛用した…ご存知 Honey です。写真も多めに撮ってみました。いろんなエピソードを交えて長めに話もしてみたいと思います。

オレの記憶を辿ると、ユニークな塗装をしてあるレスポール・タイプ、黒カスタムタイプなどを弾いてて、「スタンダードなルックスのレスポール・タイプはないでしょうか?」と ESP に訊いたところ、授けられたギターがこいつでした。忘れもしない、1997年暮れの Hi-Standard の赤坂 Blitz 公演のリハーサル前に手渡されました。綺麗な「ハニーバースト」と呼ばれる色だったので、次第に Honey と呼ぶようになっていきました。手渡されたその日にそのままリハーサルでステージ直行。音の良さにそのままその日のライブで使用、その後そのままメインギターに、という滅茶苦茶スムースな流れでした。もちろん「Making The Road」のレコーディングではエースとして活躍、その後の「Making The Road ツアー」でもメインとして使用。Fuji Rock ’99 でも Air Jam 2000 でもこいつを弾きました。今でも Ken Band のレコーディングのたびに引っ張り出してきては、困った場面でこいつを手にすることが多いです。ただいま鋭意制作中の Ken Band 6枚目のアルバムでも、こいつのサウンドが聴けます。

ガムテープなんですけどね(猛爆)レスポールのスイッチって結構ストローク中に右手に当たっちゃうんですよ。しかもリードもバッキングも全部リアで弾き切ってたので、「いっそのこと、ガムテで止めちゃえ」ということになりまして。それがそのままトレードマークになってくとは思いもしませんでしたwww
そんでレコーディングのたびに剥がすんですよ。でレコーディングが終わると、適当に近くにあるガムテでまた止める。なので過去の写真を見ると、ガムテの色がバラバラなんですねw 今つけてる色が定番ですが、黒のガムテの時もありましたし、青の時もあったなぁ。なんでもいいんですw 特にこだわりはないので。

さぁさぁ、写真を見てやってください。入手してから18年、数々の修羅場をくぐってきたギターが身にまとう凄まじい打痕、経年変化でついたクラッキング、角の欠けたヘッド、錆び付いたブリッジ…。ネックにまでバッチリと打痕がイってますw
クラッキングというのは、角度によって見えたり見えなかったりするんですが。、塗装の一番外側に入るヒビみたいなものです。気候の変化の激しいところなんかに長いこと置いておくと入るようです。気候の変化の激しいところ、つまりツアーですね。ですから、クラッキングの多く入ったギターはツアーで頻繁に使用されてたものがと判断できます。最近は凄腕の職人たちが手作業でクラックを入れたり、レリック加工したりしますが、Honey に入っているクラックや打痕は、全てナチュラルです。それからボディー裏に貼られた様々なステッカー。大きく撮ったので見てもらいのが、Iron Maiden のツアーパス!98年のツアーですよ?このステッカー(というかパス)が貼られているのは、Hi-Standard の「Stay Gold」の PV でも確認できます。なんでこのツアーパスをゲットしたかというと…98年に NOFX とヨーロッパツアーしてたんですけど、大体1日前に Iron Maiden がライブしてた会場だったんですね。つまり Iron Maiden を NOFX と Hi-Standard が追う形でツアーしてたわけです(猛爆)それである日、会場内で未使用のパスをローディーの Shannon 君が発見して、オレにプレゼントしてくれたんです。その場でソッコー「ギターに貼ろう!」ってことになったんですが、名前のところが空欄だったので、Shannon 君にオレの名前を書いてくれって頼んだんです。そしたら、しばらく悩んだ Shannon 君、「Monchhichi, Kawasaki(モンチッチ、カワサキ)」って書いてくれたんです。どういう意味かっちゅーと、彼にはオレがモンチッチに見えてたようで(猛爆)カワサキというのは、バイクのメーカーのカワサキです(猛爆)意味がなさそうで…ないんですね、ただの楽しい思い出です(猛爆)今ではにじんでしまって読めませんが、そう書いてあるんですよ。

繰り返しになりますが、入手してから18年。当時新品でピカピカだったものが、時間が経つとこうなるんですねぇって、自分で写真見ても思います。音もたぶん相当変わったんじゃないでしょうか?基本の音は変わってないけれども、もうネックも鳴るようになってきてますね。それだけで十分「鳴るギター」へと変貌したと言えます。
使用木材はボディーがハードメイプルトップにホンジュラスマホガニーバック、ネックはホンジュラスマホガニーネックにハカランダ指板。ピックアップはフロントが Seymour Duncan のアンティクイティー、リアが同じく Duncan の JBというゴールデンコンビ。オリジナルのペグがゴトーのクルーソンタイプだったらしいのですが、シュパーゼルのロック式に交換してあります。ヘッド裏を見てもらえると、交換した際に残った穴が確認できます。それで交換したシュパーゼルのロックピンも6弦と5弦が破損し、6弦は黒に、5弦は芯棒がゴールドというよく見るととんでもない配色になってます。修理に出した時にシルバーの在庫がなく「健くんならこうの好きなんじゃないか」というノリでこうなった様ですww まぁもちろん好きですけどね(猛爆)

もともとこのギターは市販品でした。正式名称は Navigator N-LP-380LTD、シリアルナンバーは07087120。
この際詳細を把握しよう!と思いまして、ESP のタンショウ君にいろいろと訊いてみました。そしたら製造された日付まで発覚しました!www
タンショウ君曰く、「97年にNavigator N-LPで凄く凝った物を作ろうと思い企画。当時お茶の水テクニカルハウスにあった、音は良いだろうだが、あまり木目が出てなくてオーダーメイドで選ばれなかったハードメイプルをトップ材に、指板はハカランダを使用しポジションマークは白蝶貝を使用 。N-LP-380LTDとしての一番最初のロッド(10本位?)の1本。」だそうです。
それで、こいつの生年月日は…?なんと1997年8月7日だそうです!この夏で18歳じゃないですか!もうそろそろヴィンテージの域ですね。
でもタンショウ君は「あまり木目が出てなくてオーダーメイドで選ばれなかったハードメイプルをトップ材に…」って言ってたけど、なかなかいい感じで杢が出てますよねぇ?確かにバリ虎じゃないですけど、ピックアップの間やボディーの外周付近なんかに、いい感じのトラ目が出てます。これくらいもトラ加減もいやらしくなくてカッコいいとオレは思うんです。バリ虎だってそりゃいいですけどねw

こいつは本当に幸せもんのギターなんです。どうしてそう実感したかというと、2010年の秋に「Dead At Bayarea」という大きなライブを神戸と幕張でやったんです。その頃には助六をメインで使ってたので、Honey は完全に表舞台から身を引いて6年は経っておりました。でもハイスタの曲を2曲演ることになったので、使うかどうかわからないけど持って行ったんですよ。それで演る直前にギターを交換してこいつを持って出たら、こいつに対する歓声が凄かったんですよ!ギターに大歓声が起きるなんて、ねぇ?現存する全てのギター、何億本あるかわからないけど、歓声が起きるギターなんてほんの数本ですよ?本当に幸せもんなんです。その後 Air Jam 2011でも2012でも弾きましたし…最近では登場回数も少ないけど、圧倒的な時代感や存在感を持ってるんでしょうね。

そして、この Honey の仕様をそのまま商品化したのが、横山健初のシグネイチャーモデル、「Navigator N-LP-’97 HONEY KEN」です。リリースは2002年6月。推しポイントは…新品なのにガムテープが貼ってあるということです(猛爆)これは我ながらなかなか斬新なアイデアでしたねwww 結果的にたくさんの大人たちを悩ませたことでしょうwwwww 聞く話によると、中にはこれを売ってたお店がお客さんに怒られたなんて話もありますwwwww「ガムテープを貼ったギターを売るとは何事か!」と(猛爆)まぁそりゃそうですよねw 怒ることはないんじゃないの?とは思いますがw横山健のことなど知らずに楽器屋さんでこのモデルを見てギョッとした方も多かったでしょう(猛爆)しかし今でもガムテを貼って販売しておりますwww 音は良いので、ちょっと見かけがふざけてるだけなんでwww よろしくお願いします(猛爆)
ちなみにオレだってしっかり一本所有してますが、現在 WANIMA のギタリストの光真にレンタル中です。もしかしたら WANIMA のライブでその勇姿が見れるかもしれません。でももし使ってないんだったら…光真、返して(猛爆)

さて、ここで話を変えて…そもそも「Navigator」とはなんでしょうか?オレの原体験も交えて話させてください。
ESP というギターブランドがあります。助六は「ESP 助六」です。もちろん他にも ESP のギターというものがたくさんありますよね。そんな ESP の中に、いろんなブランドというかラインというか、そういうのがあります。例えば「Edwards」だとか、海外向けの「Ltd」だとか。「Navigator」とはその中の一つで、いわゆる GIbson 系や Fender 系のコピーモデルを作るブランドなのです。その歴史は以外と古く、なんと販売開始は1976年。その後オリジナル・モデルや、あの Char さんのモデルなども手がけたようですが、やはりコピーモデルを中心でやっているブランドのため、徐々に生産も抑えめになっていったようです…。

コピーモデルとは一体なんぞや?例えば「レスポール」というギターの形があります。それを作ったのは Gibson です。つまり「Gibson のレスポールのみ」が「レスポール」と呼ばれるもので、他のブランドが作るレスポールは「レスポール・タイプ」あるいは「レスポールのコピーモデル」と呼ばれます。この部分は特許やら権利やらそういうことが関わってきてなかなか複雑というか、楽器業界の人でなければパッとは分からない部分でもあります。
とは言え、レスポールやストラトキャスターは、その権利やなにもかもを飛び越えて「ギターのスタンダードな形」として認識されている現状もあります。どこのギターメーカーだって少しは作っちゃうもんなのでしょう…。そしてどこのブランドも全くのパクリを作るわけにもいかない…それで少しだけ形を変えてたりします。カッタウェイの形やヘッドの形やなんやら(中にはドンパクリのモデルもありますがwww)Navigator N-LP-380LTD はネックのスケールを変えてあります。628mm(Medium)で Gibson のレスポールは624mmです。
まぁ使うギタリスト達もいちいち「レスポール『モデル』、取って!」とか現場では言うわけではありません。そのくらいの曖昧さというかルーズさというか、そんな感じなのですが、説明するときにはキチンとしなければいけないとの思いもありまして、今回文字にしてみました。

オレが「Navigator のギター弾きたい!」と ESP に直訴した頃、Navigator はブランドとしては瀕死の状態でした。でもオレは子どもの頃から Navigator に憧れがあったんです。オレがまだギターを弾き始める前、中学生の頃の友達のお兄さん…もう大学生だったか社会人だったか、そのお兄さんの部屋に Navigator のギターがありました。もちろん触るとブン殴られるので触れません。でも「音がいいんだよ」とか「高くて超良いギターなんだよ」とかドキドキするような話だけ聞かされるわけです。極端に言うと、オレは Gibson よりも早く Navigator を認知したんです。憧れて当然です。「オレもいつか Navigator を手にしてやる…」、そんな風に思ったもんでした。ところがオレが ESP からギターを提供してもらい始めた95年頃、もう Navigator は実質生産しておらず、売れ残りが少しだけ残っているという状態でした。今考えると、ESP だって独自色のオリジナルギターを打ち出していこうとしてた時期で、Navigator が欲しいというと「うーん、ナビねぇ…ちょっと難しいねぇ」というリアクションでした。で売れ残りのレスポール黒カスタム・タイプをもらって弾いてたのですが、先述のタンショウ君のコメントにある「97年にNavigator N-LPで凄く凝った物を作ろうと思い企画」なんていう動きは全然知りませんでしたよ。だからタイミングというか、運が良かったんですねぇ。
そんで…自分で言うのもなんですが…横山が Navigator 弾いたら…Navigator がバカ売れ!(猛爆)Navigator がまさかの復権ですよ!我ながらちょっとゾクゾクしましたね…。

さてさてすっかり長くなりました。閉めましょうか。
最後に…ESP さんもいろいろおありでしょうが、どんな形であれ Navigator というブランドを残し、また N-LP-380LTD や N-LP-’97 HONEY KEN のような良質なギターを生産して、世のギターキッズに届けてやって欲しいと切に願い、今回の「Honey」の文章を閉じさせていただこうと思います。

2015/4

No.9 ESP Navigator N-LP-380LTD / name:Honey
  • No.9 ESP Navigator N-LP-380LTD
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