No.27 Grestch G6134MC FSR Motor City Penguin
name: KOMA
なんと10本目の Gretsch のご紹介!ペンギンの「KOMA」です。
これは通常の生産モデルではなく、「F.S.R.」として制作/販売されたものです。以前も書きましたが、Gretsch 社の「F.S.R.(ファクトリー・スペシャル・ラン)」というのは 「個々のディーラーによって特別に委託され、ディーラーのスペシャルリクエストに基づいて製造された」商品の呼称です。つまり日本の FSR は日本のディーラーのリクエストによって作られ、日本国内でしか流通/販売されないのです。特別企画というわけですね!
さて「ファルコンは知ってるけど、ペンギンって何?」という方も多くいらっしゃると思います。ペンギンというのはですねぇ、Gretsch 社のチェンバード・ボディモデルの最上位機種です。もちろん箱モノの最上位機種はファルコンです。兄弟機種といったところでしょうか?なので多くの装飾がファルコンと共通しています。1955年にデビューしたホワイトペンギンですが、実は1958年まではカタログなどで紹介されることのない「裏メニュー」のような存在でした。いったん終了となる1964年までの生産数が数十本程度と言われており、この期間に生産されたホワイトペンギンは超レアなんです。そんなわけで1989年に再生産が開始されるまでペンギンは「幻のギター」という言われ方もされてました。「幻のギター」なんてめっちゃミステリアスで夢がありますよねぇ!!
再生産以降はしっかりカタログにも載ってますし、普通に売ってます。Gretsch カスタムショップ製のペンギンもなかなか日本には入ってきませんが、1点ものの超カッコいいのをたびたび作ってますよ!ネットで見てるだけでうっとり……眼福ってやつですね!
ボクが所有しているこいつは、2014年に日本企画としてリリースされた「Motor City Penguin」というシリーズです。50’s のアメリカ車をイメージしたカラーリングで、4つのカラーヴァリエーションがあり、なんと各8本ずつしか制作されませんでした!4色で全32本!!超レアじゃないですか!?この企画性に焦った世界中の Gretsch マニアも多いと思いますよ!
4つのヴァリエーションというのも、Motor City Red(赤)、Motor City Black(黒)、Motor City Blue(水色)、Motor City Pink(ピンク)。ボクのは見ておわかりいただける通り「Motor City Blue」ですが、すべての色の呼称に「Motor City」と名付ける徹底ぶり。そして全色に共通しているのが、サイド&バックはホワイトカラー(つまりツートーンカラーになるわけです)、バインディングはシルバー・スパークル(通常のホワイトペンギンはゴールド・スパークルです)という点。なかなか強烈、いや強烈というよりは、個性的ですよね。こんなギターは、まず Gretsch しか作れないです!!!
それではですねぇ、このギターの入手に至った経緯をお話しましょう……。
Kenny Falcon、Kenny Falcon Jr. とたて続けにリリースし、非常に気を良くしていたある日のことです。当時しょっちゅう Gretsch の日本の担当の人達とミーティングしていたんですが、突然こう言われたんです。
「健さん、ペンギン作らない?」
なんですって!?!?ペンギンって……「幻のギター」の……あのペンギン!?それで健モデルなんて作っていいの!?!?作れるもんなの!?!?!?!?
ボク、ペンギンを弾いたことなかったんです。操作性は Gretsch のジェット系とほぼほぼ同じだということは理解していました。しかしね、ペンギンを膝に置いたときのフィーリングというか、何を感じるというか、その体験をしたことがない。もうひとつ大事なことが……部屋に置いた時の存在感がどんなもんなのか。これも大事なファクターです。そういった部分が未体験のままでは、ボクは作りたくても、残念ながら作るに値する人物ではないと感じたんです。恐らくその場もそんなようなことを伝えて帰ったんだと思います。
作るに値しない……それでは作るに値するギタリストになるにはどうすればいいか……答えは簡単!1本買ってみればいいわけです!!wwwwww
その時にはすでに「Motor City Penguin」はリリースされていて、ボクもその存在を知っていた。1本買うなら普通にホワイトペンギンを買うより、これくらい変わったというか、レアなものがいい!数日後には購入してましたwwwwww ボクいろんなことがだらしなくてルーズなんです。やるべきこともモタモタしててなかなか動かない。しかしギターのことになるとソッコーで体が動くんですね。不思議ですねw
つまり上の話を要約すると、こいつには Kenny Penguin の実現には欠かせない、「ボクがペンギンを体験する」という重要な役割があったんです!
入手は2015年12月。ヘッド裏のシリアルナンバーを見てみると「JT14104248」、2014年10月製です。
2ボリューム、1トーン、1マスターボリュームという回路になっています。ピックアップセレクターはありますが、トーンスウィッチはありません。ピックアップにはダイナソニックを2発搭載、クリーントーンが美しいです。ちょっとドライブさせたサウンドなんかも良さそうですね!
ボディートップとネックにはメイプル、ボディーはチェンバード(中がくり抜いてある)構造でマホガニーを使用。フィンガーボードはエボニーです。機能面や木材は Gretsch のチェンバードのギターに多く見られる、ごく標準的なものと言えます。なんといってもこいつは装飾美でしょう!
まずヘッドから……いきなりのシルバーのバーチカル・ロゴ!羽が生えてますよ!!!カッチョ良すぎです!!!ボジションマークはフェザーインレイ!細かい!!そんでこのボディーの色!めっちゃかわいい水色じゃないですか!?これと白のツートーン、正にアメ車って感じですね!さらにアメ車感を高めているのが、クロームのアームレストとキャディラックGテイルピースですね。あ、ペグもクロームのインペリアルペグ!全体的にクロームのハードウェアで統一されているところもまたアメ車的なタフさと高級感を演出してくれてるんですね。アームレストってあまり見かけませんよね?ピックガードにちょこんといるペンギンのイラストとともに、ペンギンのトレードマーク的な存在感を醸し出しています。ちなみにこれはシングルカッタウェイのペンギンですが、ダブルカッタウェイのペンギンも存在します。それにはアームレストは付いていないようです。
さてさて……ここまで言及するのを控えていましたが、なぜ「KOMA」という名前をつけたか、ってところですよね……まぁそれは当然ね……妖怪ウォッチのコマさんのカラーとね……似てるからなんですけどね。ちなみにこのギターを持っていろいろと熱弁している時に、ミナミちゃんに問われました!
「正直……この色じゃなかったら(ニヤニヤ)……このギター、買ってました?(ニヤニヤ)」
ミナミちゃんの言うことって時々めっちゃ芯を食うんですよ。いや!正直この色じゃなかったら買ってなかったですよ!?ええ!コマさんカラーだから買ったんですよ!?でもいいじゃないですか!?Ken Band で弾きたいって言ってるわけじゃないし!弾きたくてもピックアップがシングルコイルですから、あまり歪みに合わないですしねぇ!?良かったですねぇミナミちゃん!いや、別にコマさんじゃなくたって、この色のペンギン最高に良くない!?ねぇミナミちゃん??コマさん関係なくね!?!?
ちなみにですが、このギターに合わせて「唐草模様のストラップ」も作ってもらいましたwwwwwwww
ペンギンって弾いてる人をなかなか見ないです。まぁ最上位機種なんで間違っても安い買い物ではないですからね……。でも「みんな同じようなのを弾いてるし、ちょっとレアなのを弾きたいな」なんて思いのあるギタリストには、ペンギン超おすすめですよ!
2020/12/08